目覚めるとそこは精神病院――大正15年、秋。 時計の音で目が覚めた男は、自分が誰なのか全く 分からなくなっていた。
「私」はいったい誰なのか——。 「隣の部屋」から聞こえる少女の声
ーー助けて下さいーー。
主人公の前で次第に明らかになっていく謎と事件の全容が 全て「嘘」とされ、「幻」だったものが「現実」となり、その また逆に「夢」とも「現」となり…。常軌を逸した作風から 日本探偵小説史上の「三大奇書」と呼ばれており、読破 した者は、必ず一度は精神に異常を来たすとも 評されている幻惑性作品。